奈良の街には、大きな庭があります。
贅沢なこの庭には、池も、森もあって、鹿も飼われている。
そんな庭を自由に歩けるのです。
早朝、春日大社の「禰宜の道」を歩く。
聞こえるのは鳥の囀りと、私の足音だけ。
樹々の間から時々差し込む朝陽を楽しみながらにゆっくり歩く。
足元に白い花。
見上げると、咲いている。エゴノキ。
この季節が来たのですね。
白い丸い蕾は小さくて、高い枝に咲くのでつい見過ごしてしまう。
まだまだ枝で咲いていたいでしょうに、綺麗な姿ではらはら舞い降りてきた花。
そんな季節を感じるのも、早朝散歩の楽しみ。
今回は、朽ちて樹皮だけになり、全てが深い緑の苔に覆われてる樹。
美しい形で朽ちている。
森の精霊がそこにいるの? そう思える位、心惹かれる。
でも、一瞬、足がすくんでしまった。
暫く見つめていたら、「いいよ」って言われみたい。(勝手にそう思う)
そっと近ずく。
その樹は生きていたのです。
新しい命が宿って、新芽が周りの樹々に負けないくらい活き活きと伸びてました。
生きていたのです。
巡って巡って、巡って巡って、生きていたのです。
自然のサイクルに、驚きながら—-
春日の深い森。
また、どんな出会いがあるでしょうか?
そうそう、春日の園地で亀に出会いました。
子鹿がぴょんぴょん跳ねて逃げながら、それでも気になるのか遠目に見つめる姿にほっこり。
朝の空気も沢山吸いました。
誰もいない時にはマスクも外して、深呼吸。
(ムラカミ)